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動物病院の深イイ話

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動物病院の深イイ話

『ベッツワンプレス 2012冬号(Vol.33)』 掲載分

番外編 動物病院の深イイ話

通常このコーナーでは、飼い主様のお声をお届けしているのですが、今回は番外編として、獣医師様、動物看護師様からエピソードを募集いたしました。多数のご応募いただき、一同胸をなでおろしています。ここに一部ではございますが、紹介させていただきました。参加していただいた皆様、本当にありがとうございました。

 

Q1 獣医師、動物看護師やスタッフになってよかったと感じたエピソード。

Q2 動物病院の日常での、感動したことや苦労話・お困りごとなどを教えてください。

※アンケートの内容は原文のまま掲載しています。

Case1 埼玉県 S 動物病院様

A1 仕事ではなく、町会の方などに犬や猫のことを、スピーチさせていただくことがあります。犬猫に与えてはいけない食品についての話を通し、動物の生命も大切にし、また人間とのよりよいかかわりがもてるようにと、地域友好ができました。

A2 今、毎日通院されている飼い主さんのワンちゃんがいます。
当院は獣医師が私だけですので、基本的には処置は私がします。休日もこのワンちゃんの注射等は私がしますので、しかたないのですが休めません。

Case2 大阪府 U 動物病院様

A1 大学を卒業し、産業動物を診療していました。自分で飼っていた犬が血便をしだしました。牛の病気の知識はあっても、犬猫の病気の知識は皆無。北海道の田舎では、犬猫の診療施設もなく、聞く先生もおらずに苦労しました。とりあえず、犬の診療の修行もしたいと思い、都会へ出て勤務医をし、そのまま開業してしまいました。いまでも、自分の犬にベストの治療をしてやるべく設備を整え、万が一に備えています。自分の子を自分で治療してやれることが一番うれしいです。

A2 難しい手術は基本的に専門医を紹介しますが、先生と心中します、練習台でもいいからどうしても先生にお願いします、といわれ、なんとかなおしてやれたときが一番うれしいですね。

Case3 愛媛県 O 動物病院様

A1 大きな病気や手術を乗り越えて元気に退院していく子達が、病院の玄関を飼い主さんとうれしそうに出て行く姿をみると、獣医師になってよかったと感じます。退院していく犬さんや猫さんが、帰り際ふと振りかえって私を見てくれたとき、その表情は忘れられません。

A2 朝病院のドアを開けに行ったら、ガラス越しにヒラヒラと振る犬のシッポが見えました。玄関の鍵を開けてみると、シッポの主はうちの患者さんの中型犬ゴンちゃんでした。「ゴンちゃん、どうしたの?」と声をかけると、シッポを振り振り自分から病院の中に入ってきました。飼い主さんに電話してみると、朝の散歩でリードが離れてしまったとか。その電話で「そういえばちょうど血液検査をしてもらおうと思っていたから、お迎えに行くまでに採血しておいてください。」と頼まれました。犬・猫さんは飼い主さんが連れてくるものと思っていましたから、一人で来院してくれたゴンちゃんにビックリです。散歩の途中で飼い主さんとはぐれてしまった時、病院を思い出して来てくれたゴンちゃんの気持ちがとてもうれしかったです。

Case4 滋賀県 M 動物病院様

A2 東日本大震災が起こった頃、当院ではとても悲しく、でも心温まる出来事がありました。
糖尿病治療のため月に数回のペースで通院していたダックスのミミちゃん。
飼い主さんはボランティアや県や市などのいろいろな活動をしていらっしゃり、とてもお忙しい方でした。
ミミちゃんの状態が悪くなったのは震災が起こる数日前。自宅での療養が難しくなったため、入院となりました。
その後も状態は良くならず、3 月11 日の深夜、お母さんの腕の中で虹の橋を渡っていきました。
飼い主さんはご主人が海外にいらっしゃるため、私たちは大切な家族を助けてあげられなかったことをとても悔やんでいましたが、翌日の12 日、お母さんがいらっしゃりこんなことをおっしゃいました。
「今から福島へ行くの。悲しんでいられない。ミミは私が震災で大変な人たちを助けに行くのに、私のことはもう心配しなくて大丈夫だから早く行ってあげて!って言ってくれたんだと思う。」と。
私はその時号泣してしまいました。
そのあとすぐ、お母さんは物資を載せたトラックに乗り、福島へ向かったそうです。
ペットは自分の死期が近づいた時、言葉は良くありませんが本当にタイミングを見ているんだなと思うことが多々あります。
そんなペットたちの不思議な力を見ていると、本当に家族の一員なんだなとつくづく感じます。

Case5 大阪府 H 動物病院様

A1
・病気の動物が元気なって帰っていった時。
・飼い主さんとの楽しい会話。
・病院に喜んできてくれるこを見た時。

A2
・ネイルができない。
・生キズがたえない。
・ノミにかまれる。

Case6 大阪府 E 動物クリニック様

A1 ありきたりですが飼い主さんをはじめ様々な方が 喜んでくれた時、なってよかったかなと思います。

A2 帰る時間が不規則なのがとっても困ります。

Case7 埼玉県 A 動物病院様

A1 新患のオーナー様に○○さんの紹介で来ました。と言われる時に『○○さんが、こちらの病院は先生もスタッフの方もとてもいいって、言ってたので』…と言われると、嬉しいです。加えて、やはり評判?を聞いて、かなり遠くから来院される方も嬉しいです。(^^)

A2 あれは3年程前の冬の寒い日でした。
当病院ではお泊まりのわんちゃんを朝夕散歩するのですが、近くに雑木林があり、そこへお散歩に行くのが日課となっており、その日の朝も、お泊まりのmix 犬のチビちゃんをいつも通りにお散歩へ連れて行きました。
チビちゃんが大をしまして、かがんで、その大をウ○チ袋で取ろうとしていたところ、チビちゃん、首輪から「するっ」と抜けてしまったのです!
チビちゃんの首輪はチェーンタイプのチョークカラーで、私がかがんだ姿勢でチェーンがたるんで、するりっと抜けてしまったのです!
チビちゃんが首輪が抜けた事にすぐ気がつき(私もすぐに気がつきましたが)捕まえようとした私の手をタッチの差でよけて、あっと言う間にタタタ~ッと♪つきで走っていってしまいました。(泣)
この雑木林のちょっと先はトラックがバンバン走る大きな道路があります。
チビちゃんはその道路へ一直線です。私も必死で追いかけますが、全然追いつきません!道路はすぐそこです。
チビちゃん、危機一髪!…と思いきや、不思議な事にチビちゃんが道路を横切る時には車がふっと途切れました!
おかげでチビちゃんは事故に遭う事もなく、道路の向こうへ渡って行きました。
私も必死で追いかけます。
ここまで、誰も通らず、携帯電話も持っていなかったので病院へ連絡する事もできず、道路を渡って、必死に追いかけるのですが、普段運動なんて全くしていない私。足は動かず、息も上がってゼイゼイハァハァ。寒い冬の朝の事、ノドも痛くなってきました。でも、まだチビちゃんの姿は目視できる状態です。
ここら辺で、やっと人が何人か現れました。
私が犬を追いかけているのは、みなさんわかったようです。
「すみません!どなたか捕まえて下さい!」と叫びながら走るも、誰も捕まえてくれません。
なぜなら! チビちゃんはちっとも「チビ」ちゃんじゃないのです。
パッと見はシェパードな大型犬なんです!道行く人々、こわくて誰も近寄れませ~ん(大泣)
でもチビちゃん、実はとってもおとなしい、いい子なんです~と、心の中で叫んでも、通行人にわかるハズもなく、みなさん、ギョッとした顔で避けて行くだけでした。そして、とうとうチビちゃんの姿を見失ってしまったのです…。
ここで、ウォーキング中の方に携帯をお借りして病院へ連絡。先生ともう一人のスタッフがかけつけて来ました。
チビちゃんの姿を見失ったあたりは、なんと!チビちゃんの自宅付近だそうで、これは自宅へ帰っているパターンだろうと言う事になり、チビちゃんの自宅へ行きました。
今の所チビちゃんの姿は見えません。
もう一人のスタッフと刑事ばりに張り込みする私。
…と、そこへフツーの顔でチビちゃんが現れました。
良かった!ケガとかもしていないようです。
全く何事もなかったかのように、自分の小屋へ入ろうとするチビちゃん。
私たちがつかまえようとすると、「しまった!」って顔して逃げようとしますが無事捕獲!(歓喜)
本当にチビちゃん、無事で良かった…。
ケガもなく良かった。戻ってきてくれて良かった。
後日、お迎えに来たオーナー様には事情をお話して、快く許して下さったのですが、それはチビちゃんが無事であったからの事です。この『チビちゃん大脱走事件』を機に私は首輪を2つ付ける、または胴輪をつけてお散歩へ行く事にしたのでした。
このチビちゃんの余談としてオーナー様から、チビちゃんはおうちでも脱走の常習犯だそうで、いつも一人散歩を楽しんでいるとの事。ご近所の方がチビちゃんを連れて帰ってくれたりするそうです。チビちゃん、くれぐれも事故に気をつけてね!
そして、お願いだから病院へお泊まりの時は脱走しないで下さい!(切実)

Case8 大阪府 M 動物病院様

A1 入院患者が元気に帰っていき、検診に来院された時、オーナーさんにも顔を覚えてもらえ、笑顔で話しかけてもらえると、とても嬉しく、やりがいを感じます。

A2 太った犬の保定・駆血は腕、腰に負担がかかり、かなり大変です…。

Case9 大阪府 S 動物病院様

A1 獣医師です。かわいいワンちゃんネコちゃんに日々触れ合えることはもちろんですが、飼い主様からの「ありがとう」が嬉しいです。最初はあまり信頼してもらえていないな、と感じていた飼い主様が、日々診察を重ねることで心を開いていってくれているように感じ、そして「ありがとう」を言っていただいたときが特に嬉しいです。

A2 話の長いおばちゃん。私は鳥取→広島→大阪と住まいを変えてきましたが、大阪のおばちゃんは特に長い人が多いんじゃないか、と感じています。

Case10 埼玉県 T 動物病院様

A1
・患者さんが良くなっていく姿を見ることが出来た時。
・手術で病気が完治した時。
・完治できなくても体調が安定した時。
・預かった患者さんが懐いてくれた時。
・飼い主さんが「ありがとうございます」と言っていただいた時。
・飼い主さんに色々頼りにされる時。
・飼い主さんと一緒に病気の治療に取り組めていると感じている時。
・動物の言葉が何となく理解できる時。
・自分の家族(犬、猫)に合った治療が実施できていると感じた時。
・自分の家族を看取ることができた時。
・日々が勉強で日々が変化に富む仕事だとやりがいを感じる時。

A2
・通院している飼い主さん自身ではなくその家族が深夜に現れ、「薬のせいで病気が悪化した」と怒鳴り込まれ、責任取れとか、色々な無理難題を言われたとき。(あ~寿命が縮むと感じました。)
・酒気帯の患者さんが夜に来院したときに苦労します。
・治療中に予想外に病気が悪化して患者さんの寿命も縮み、自分自身の寿命も縮む思いをすることがあります。
・治療で改善が難しく苦しい状態に刻々と変化する患者さんを入院下で看護しているとき自分自身の気持ちも滅入ります。

飼い主様のホンネ調査隊より

お送りいただいたエピソードをスタッフで読ませていただいて、改めて動物病院様とペット・飼い主様との絆の深さというものと、動物病院に従事することがとても大変で苦労の多い仕事だと感じました。その中にも、動物への愛情、情熱に満ちた数々のエピソードをいただき、このような企画で全国の動物病院様に発表できたことに感謝いたします。
 次回、2013 年ベッツワンプレス冬号では、飼い主様よりいただいた動物病院、獣医師様、看護師様との心あたたまるエピソードを発表します。ご期待ください!

飼い主様のホンネ調査隊では、動物病院様から飼い主様へ調査してほしいアンケート内容を募集しています。FAX でお送りください。
FAX 0120-443-306