いつまでも自由気ままで、年齢を感じさせない子も多い猫。
犬ほど明確に高齢期への移行がわかりにくいのも、猫の高齢期の特徴でもあるように思います。
そこで、見落としがちな変化や毎日の暮らし方など、愛猫がずっと元気でしあわせに過ごせるためのポイントを、獣医師であり、自身も4頭の猫の飼い主さんでもある村田香織先生にお話を伺ってきました。
今回お話を伺いました、村田香織先生のプロフィール。
もみの木動物病院(神戸市)・獣医師
同病院では、しつけ教室でパピークラス、問題行動を持つ犬猫のカウンセリングも担当。
株式会社イン・クローバー、代表取締役。
お家では14歳の子を筆頭に4頭の猫と、犬4頭に愛される素敵な飼い主さんです。
元気でもすこしずつ老化は進んでいきます。
7歳から高齢期に入ると言われている猫ですが、個体差もあり「歳をとったなぁ」と感じることは意外に少なくて、かなり歳をとるまでわりと元気でいるような気がします。ただ、節目ではあるので、老化が始まるという意味では間違いではないでしょうね。
高齢期を過ぎてからの変化と言えば、甲状腺の病気や腎不全が出てくる子が多く、遊びなど運動不足による肥満、さらには関節炎を起こしてしまう子もいますね。おおむね動作や様子がおかしい、という場合は病気の可能性があるので、注意してください。
若々しく歳を重ねる工夫と長生きの秘訣。
運動をさせましょう!
「おもちゃで遊びましょう。」
遊びは猫の脳に良い働きがあり、刺激不足になりがちな日常生活のストレスを減らして幸せな気持ちにしてくれます。遊ぶときは、猫じゃらしなどのおもちゃを使って飼い主さんも一緒に。獲物のように素早く動かし、おもちゃを追いかけたり捕まえたりするような、猫本来の捕食本能を満足させてあげてください。
おもちゃに反応が悪い・遊ばない場合は・・・
いろんなタイプのおもちゃを試して愛猫の好みを見つけましょう。
それでも反応がない場合は、お腹を空かせた状態で、食べ物をひもに括り付けて動かしてみてもいいでしょう。ただし、誤ってひもを食べてしまわないように注意してくださいね。
肥満にご注意!
交通事故や伝染病、猫同士のケンカを防ぐためにも完全室内飼育はいい事ですが、刺激不足・運動不足になり、若い時期から肥満になる子が増えてきています。特に避妊去勢を済ませていると、さらに太りやすい傾向に。
「猫は散歩の必要がない。」と思っている人も多いかと思いますが、それは、決して「運動する必要がない。」ということではありません。猫の場合も絶対に運動が必要です。そのためにも、環境づくりと運動をさせる工夫が重要です。
「食事にエネルギーを使わせましょう。」
猫は本来、獲物を探し追いかけ、捕まえてやっと食事にありつけるという環境で生きてきた動物。したがってフードは与えっぱなしにするのではなく、捕食行動を刺激するような与え方がおすすめです。
例えば、一日分を何回かに分けて家の中のさまざまな場所に置いておくと、猫は食べ物を探して動くようになります。
特に大切と言われる上下運動を意識して場所を選ぶといいですね。ただし、年齢とともに高い場所にも登らなくなるので、安全に上り下りできる場所を作り、そこに置いてあげるのもいいと思います。
こんな方法も!
ペットボトルに小さな穴を開け、猫が転がすとフードが出てくるようにするのもおすすめ。猫が体を動かす動機やきっかけを作る工夫をしてみましょう。
水分を充分に与えましょう。
猫はもともと砂漠出身の動物なので、犬のようにたくさんの水を飲みません。しかし、それが原因で泌尿器の病気(膀胱炎・腎不全など)がとても多いのです。日ごろからできるだけたくさんの水を飲むように工夫しましょう。高齢になって飲水量が増えたという場合は、腎不全の可能性もありますので病院に相談を。
「水の容器は陶器や磁器がおすすめ。」
猫はステンレスやプラスチックの容器より陶器や磁器を好みます。容器によって飲水量が変わってくるため、猫の好む容器を見つけてあげましょう。また、大き目のサイズでたっぷりと水が入っている状態を好む場合が多いようです。
「いろんな場所に水入れを。」
猫は喉が渇いても近くに水がなければがまんをしてしまいます。「飲みたい!」と思った時にすぐに飲めるように水入れは家の中のいろんな場所に置いておきましょう。また、新鮮な水を好むため、こまめに入れ替えてあげましょう。水道の近くに置くのもおすすめです。