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秋から冬にかけて、愛犬の健康管理で注意すべき病気や日常のケアとは?
飼い主さんの気になる質問や心配事に、ペピイカタログの監修をしていただいている
みゅう動物病院 院長の本田善久先生がお答えします。 |
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冬にかかりやすい病気対策
人は、寒くなるとインフルエンザが流行しますが、猫も注意が必要ですか?
猫には、人のような風邪や季節性インフルエンザはありませんが、「猫風邪」と呼ばれる、似た症状の感染症があります。
冬に風邪やインフルエンザが流行るのは、空気の乾燥により、鼻やのどの粘膜のバリア機能が低下し、細菌やウイルスに感染しやすくなることと、寒さで体温が下がることにより体の免疫力も低下してしまうからです。猫には人の風邪ににた呼吸器系症状を示す「猫ウイルス性鼻気管塩炎(FVR)」、通称「猫風邪」と呼ばれる感染症があります。これは猫ヘルペスウイルスによって起こる病気で、ワクチン予防できます。
ただし、外に出ている猫や保護された子猫の場合は、すでに感染しているケースが多く見られます。このウイルスは一度感染するとずっと潜伏し続け、体力が低下したときなどに再発します。さむくなると猫風邪が増えるのは、新たな感染よりも、再発が多いのです。体が弱らないよう健康管理をすることが、発症予防につながります。
この頃、あまり水を飲まないので、泌尿器の病気が心配です。
飲水量を気にするだけでなく、まず良質なフードと清潔なトイレを心がけましょう。
猫は、冬になると、尿石症などの泌尿器系の病気が増える傾向にあります。元々あまり水を飲まない動物ですが、冬にはさらに飲水量が減り、排尿の間隔が長くなって、膀胱に石が形成されやすくなるからです。
最近は、フードもミネラルバランスを調整し、石ができにくく設計されたものが増えています。予防のためには、まず良質なフードを選び、いつでも新鮮な水が飲めるようにすること。太ると運動不足からますます飲水量が減るので、肥満させないことも大切です。そして、トイレは猫の好みの砂で、つねに清潔を保ち、トイレを我慢させないこと。これらが守られれば、無理に水を飲ませたり、食事をドライから缶詰に変えるなどの特別な配慮はいりません。
暖房器具への注意点
ストーブやヒーターから離れないのですが、やけどをしませんか?
暖房器具には安全対策を。浴槽への転落にも注意が必要です。
ペットヒーターや使い捨てカイロなどに、長時間、直接体を密着させていると、低温やけどをすることがあります。動きが鈍くなっている高齢猫や病気の猫などはとくに注意が必要です。カイロやヒーターは、タオルでくるむなどの配慮を。
ストーブで被毛を焦がしたり、コードをかじって感電し、肺水腫や口内にやけどをすることもあります。暖房器具の周りに柵をしたり、コードをカバーで覆うなどの安全対策をしましょう。また、猫は、暖かいお風呂が好きで、浴槽への転落事故もよくありますので、注意してください。
ノミ対策
夏にノミに感染して以来、月1回駆除薬を使っていますが、いつまで必要ですか?
外に出る猫や多頭飼育の場合は、通年予防をおすすめします。
昔は、春から夏がノミの繁殖シーズンといわれていましたが、エアコンが普及した現在、いつまで予防すれば大丈夫という確実な目安はありません。
ノミは気温13℃以上、湿度50%以上で繁殖します。つまり、エアコンで適温にコントロールされた室内環境では一年中繁殖可能で、いったんノミを持ち込んでしまうと、根絶さえるのは大変です。とくに外に出る猫や多頭飼育の家庭では、通年予防をしたほうが安全でしょう。
避妊・去勢
猫の発情期っていつ?避妊・去勢手術を受ける時期は?
発情は、日が長くなるにつれて始まります。避妊・去勢手術は主治医によく相談を。
もともとメス猫の発情は、日照時間の影響を受け、冬から春に向けて日が長くなるにつれ、起こりやすくなります(※)。出産を望まないなら、発情が来る前に、避妊・去勢をしてあげた方が病気予防やマーキングなどの問題行動を抑制する効果が高いと言われています。手術時期は主治医の先生とよく相談しましょう。
(※)夜間も照明で明るい室内飼育の場合は、一年中発情期といえます。