犬種によっては、春と秋に、換毛期という被毛の生え替わり時期があり、大量の毛が抜けます。換毛期があるのは、上毛と下毛の両方をもつダブルコートと呼ばれる犬種で、日本犬や原産地が北方の犬種に多く見られます。
換毛と病気による脱毛を見誤らないようにするには、皮膚や脱毛の様子をよく観察してください。アレルギーや炎症によるものなら、皮膚に発赤や発疹が見られ、脱毛も局所的なものになります。また、皮膚そのものに異常がなく、脱毛が左右対称に見られれば、内分泌系の病気が疑われます。
短毛種はラバーブラシ、長毛種はスリッカーやコームなど、毛質や毛の長さに合ったブラシを使いましょう。
ブラッシングは換毛期のない犬種にも欠かせません。定期的にトリミングをするプードルなどは、自宅でブラッシングをしない飼い主さんもいらっしゃるようです。しかし、ブラッシングは、抜け毛の除去だけが目的ではなく、体表に異常がないかチェックしたり、犬が体のどこを触られても嫌がらないようにする「しつけ」の一環でもあります。飼い主さんとの信頼関係を築く、絶好のスキンシップ機会にもなるでしょう。
短い時間から始め、毎日、少しずつ時間を延ばしていって慣らします。たまにしかしないと、毛がもつれて痛いうえ、時間がかかるため、ますますブラッシング嫌いになってしまうのです。
具体的には、舌を出してハァハァと苦しそうに呼吸する「パンティング」、大量のよだれを出す「流涎」、ぐったりする「虚脱」、目や口腔粘膜の「充血」など。進行すると、意識が混濁したり、呼びかけに反応しなくなったりの「意識レベルの低下」が見られ、「けいれん」を起こすこともあります。
濡らしたタオルなどで、脇、内股、首など、太い血管が通っているところを集中的に冷やすと、効率的に体温を下げられます。お風呂に水を張ってつけるのもいい方法です。意識がないような重度の場合は、頭も冷やして、一刻も早く動物病院へ連れて行ってください。
飼い主さんが側にいてあげられるときは、エアコンの設定温度を上げる代わりに、扇風機を組み合わせたり、クールマットを用意してあげたり、愛犬の様子を見ながら、節電対策も可能です。ちなみに犬にとっての快適温度は犬種によって異なりますし、個体差もあります。暑さに弱い短頭種なら20℃でもいいぐらいです。
熱中症になってしまったとき、動物病院では、不足している電解質を調べ、輸液によって補給しますが、熱中症予防のために、わざわざ人用のスポーツドリンクを飲ませる必要はないと思います。
定期的に駆除剤を投与して、ノミ・ダニをしっかり予防してください。とくにマダニが媒介して感染する「バベシア症」は命にかかわる危険な病気です。
また、いったん寄生したノミは室内でも繁殖し、生活環境中には、成虫以外に、卵、幼虫、さなぎなどの状態で潜み、再寄生の機会をうかがっています。部屋はこまめに掃除機をかけ、ごみは密閉して捨てるようにしましょう。
ノミを見つけても、爪でつぶすのは厳禁です。ノミは瓜実条虫(サナダムシ)を媒介するので、もしノミの体内に条虫の幼虫がいて、誤って人の口に入れば感染してしまいます。できるだけ早く動物病院で駆除剤を処方してもらいましょう。最近は、ノミが1回吸血するだけで死ぬ即効性のある駆除剤も出ています。
マダニの場合は、吸血すると黒く大きく膨らみます。強引に取り除こうと下手に引っぱると、口や頭部が残って化膿することもあります。やはり、動物病院での適切な処置と駆除剤の投与をおすすめします。ノミもダニも、できるだけ吸血回数を少なくしてあげることが、愛犬にとって最も良い対処法です。
飲ませ忘れた期間の感染リスクは地域によって異なりますが、感染の可能性はゼロではありません。感染の有無は翌年の検査で調べますが、感染虫が1匹だけなら、検査に引っかかってこないこともあります。もっとも1匹であれば、成虫に育っても、大きな健康被害をもたらすことは少ないでしょう。フィラリアの寿命は5~6年ですから、虫の寿命が尽きるのを待つことになります。こうした心配をしなくてすむよう、薬の飲ませ忘れにはくれぐれも注意してください。
1ヶ月以上あけて射つことをおすすめします。
春から夏にかけては、ワクチン、狂犬病、フィラリアなど、病気の予防をしっかり行いたい季節。それぞれの来院時は、病院で診てもらういい機会です。一度に済ませるより、そのつど病院に出かけたほうが、健康チェックの機会が増えて、飼い主さんにもメリットが大きいのではないでしょうか。
チップ自体は小さなものなので、注入時に大きな苦痛を与えることもなく、注入による副作用もほとんど認められません。迷子札のように外れる心配がないのもメリットです。即効性という面では、迷子札のほうが便利です。しかし、個人情報を記載することに不安を覚える飼い主さんも多いでしょう。