足への衝撃を和らげる
厚くて弾力のある肉球は、犬の体重を支え、歩行時や着地時の足への衝撃をやわらげるクッションの働きをしています。また、裸足で歩く犬にとっては、さまざまな衝撃から足を保護してくれる靴底代わりでもあります。
足音を消す
ペットになった今の犬にはあまり関係ありませんが、肉球には、狩りの時、獲物にこっそり近づけるように、足音を消す役割もあります。
地面の状態を感知する
そして、最も重要なのが、”地面センサー”の役割。肉球にはたくさんの神経や血管が分布しており、人の指先と同様、触覚・圧覚・温度感覚・痛覚を感じ取ることができます。犬は肉球を通して地面の状態を感知しており、もし肉球を失ってしまったら、歩くことすらできません。
弾力の秘密は脂肪と綿維組織
あのプニプニした感触は、何でできているのでしょうか?肉球の外側は角質化した非常に厚い表皮で覆われていますが、その下は、脂肪と弾性線維(エラスチン)、膠原線維(コラーゲン)が混在した、やわらかくて弾力のある皮下組織から成っています。
円錐状突起がスパイクの役目
犬の肉球の表面は、小さな円錐状突起の集まりでできています。これが、爪とともに、犬が地面を蹴って走る時にスパイクの役割を果たしています。雪道でも滑らず歩けるのは、この突起のおかげといえます。
体の中で唯一の発汗場所
よく知られているように、犬は人のように全身にエクリン汗腺が分布しておらず、汗をかくことができません。しかし、肉球だけには汗腺があり、犬の体の中で唯一汗のかける場所です。発汗によって、肉球を乾燥から守っていると言われています。
肉球にはそれぞれ名前がある
通常は、「肉球」とひと括りで呼びますが、実は、それぞれの肉球には名前があります。愛犬の足を裏返して、一つひとつ確認してみましょう。
ケガをすると治りにくい
肉球の弱点は、再生能力が低く、ケガをすると非常に治りにくいことです。脂肪と線維組織で張りつめた状態にあるので、尖ったものなどを踏んで傷つけると、傷口がパンと大きく弾けるように開いてしまうのです。表皮の硬い部分は血管が少なく、肉が盛り上がってくるのにも時間がかかります。しかも、犬の体重がかかる場所なので負担が大きく、ふさがりかけた傷口がまた開きやすいということもあります。
肉球が硬くなる病気も
肉球に症状が出る病気もあります。非常に致死率の高い感染症として知られる「犬ジステンパー」は、発熱や鼻水で始まり、次第に咳やクシャミ、嘔吐や下痢、さらには麻痺やけいれんなどの神経症状を現すことも。それ以外に、鼻や肉球の皮膚が角質化して硬くなる「ハードパッド」と呼ばれる症状が見られるのも、この病気の特徴です。
やけどや乾燥に注意
肉球は直接地面に接する場所だけに、路面の状態には十分な注意が必要です。夏の灼けたアスファルトや砂浜を歩かせると、やけどの原因に。また冬の冷えた路面では、乾燥してカサカサに荒れたり、ひび割れの心配も。靴を履かせたり、クリームで乾燥を防ぐなど、環境に応じたケアをしてあげましょう。