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犬のからだセミナー 吐く編 この「吐く」、大丈夫?

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犬のからだセミナー 吐く編 この「吐く」、大丈夫?

ドクターズアドバイスペピイ2010秋冬号

犬のからだセミナー 吐く編 この「吐く」、大丈夫?

この「吐く」、大丈夫?食べ過ぎて、空腹で、病気で…と、犬は何かとよく吐く動物です。吐く原因や、危険度の見極め方を知って、慌てず適切に対処するようにしましょう。

吐くをよく見極めよう

食べた物を口から戻すことを「吐く」といいますが、犬が吐く背景には、いろんな原因が潜んでいます。
愛犬が吐いた場合は、どんな状況で吐いたのか、吐いた後の様子はどうか、どんな物を吐いたのかなど、よく観察してください。そうすれば、動物病院で受診する際にも、診断がつきやすくなります。

チェックリスト

様子見していても大丈夫なケース

犬イラスト

愛犬が吐くと、飼い主さんはついオロオロしがちですが、犬は比較的によく吐く動物なので、吐いたからといって、必ずしも病気というわけではありません。例えば次のようなケースで、吐いた後に元気で食欲もあれば、様子を見ていてもかまわないでしょう。

ガツガツ食べて吐く
食欲旺盛な犬がガツガツと食べて、食後すぐに吐くことがあります。
犬は吐いた後も元気で、さらに吐き戻した物を食べてしまうこともあります。これは慌てて食べた物が未消化のまま吐き出されただけなので、とくに心配はいりません。
白い泡や黄色の液体を吐く
朝の起床時や食前などに、白い泡状の液体や黄色い液体を吐くことがあります。 白い液体は胃液、黄色い液体は胆汁で、胃が空っぽで逆流してきたものです。空腹が原因の場合が多いので、食事を小分けにして与え、食事間隔が開きすぎないようにするといいでしょう。
草を食べて吐く
犬が散歩途中に、草を食べて吐くこともよくあります。 吐き気をもよおしたり、胃酸過多で胸やけを起こしたときなどに、草を食べて、その刺激で、胃の中に滞る食べ物や余分な胃酸を吐き出そうとしているのです。体に悪い物を排出しようとする生理現象ともいえるので、繰り返さなければ問題ありません。

危険なケースは、すぐに動物病院へ

犬イラスト

吐く原因で最も多いのは食べすぎによる急性胃炎ですが、嘔吐にはいろんな病気が関連しており、時には消化器以外の病気の可能性もあります。
一過性のもので、繰り返さなければ心配はいりませんが、少しでも気になるサインが見られたら、すぐに動物病院へ行きましょう。

一過性の吐く
一度吐いただけで他に下痢などの症状もなく元気な場合は、半日~1日絶飲食して、その後、何もなければ大丈夫でしょう。
嘔吐への対応は、絶食と絶水で様子を見ることが基本です。
繰り返し吐く
消化器系の病気、異物の誤飲、毒物による中毒、ウイルス性感染症などの疑いが。
腹痛を伴う
苦しそうに背中を丸めてうずくまっているときは、腹痛の可能性。
嘔吐物に血が混じっている
少量の血が混じっていたり、重い潰瘍や腫瘍では、出血で嘔吐物がコーヒー色になっていることも。
嘔吐物に異物が混じっている
おもちゃの破片や植物など、食事以外の異物が混入している場合は要注意。
嘔吐物が便のにおいがする
嘔吐物に便臭がする場合は、腸閉塞を起こしている疑いが。
下痢、発熱、痙攣など、他の症状を伴う
下痢、発熱、ショック症状など、嘔吐以外にも激しい症状を伴う場合は、極めて緊急性大。
注意!食道にトラブルを抱える場合の「吐出(としゅつ)」とは

犬が吐く場合、そのほとんどは、胃や小腸の内容物を戻す「嘔吐」ですが、なかには食道などに問題があり、食べた物が胃に到達する前に吐き出してしまうことがあります。これを嘔吐と区別して「吐出」と呼んでいます。
こうした吐出を食事のたびに繰り返す場合は、食べた物が食道を通過できない原因(食道拡張症、腫瘍、異物など)があると考えられますので、動物病院で受診しましょう。

こんなにある原因となる病気

由来する病気によっては、吐く以外にも様々な症状を伴います。嘔吐以外の症状にも注意することが必要です。

食事の問題
急いで食べた、食事内容を急に変えた、異物を食べた、など。
吐物に混じる血液や異物に注意
胃内のトラブル
胃炎、胃潰瘍、腫瘍、幽門部の狭窄、胃捻転、誤飲による異物など。
小腸のトラブル
慢性腸炎、腸捻転、誤飲による異物、寄生虫など。
異物による腸閉塞が起これば緊急手術に
腹腔内のトラブル
すい炎、腹膜炎、腫瘍など。
代謝性疾患
腎不全、肝不全、糖尿病、副腎皮質機能低下症など、代謝性疾患に伴うもの。
「水をたくさん飲む」などの特徴的な症状も
薬物や中毒性物質
農薬・殺虫剤・殺鼠剤などの薬物、ネギ類・チョコレート・毒性のある植物などの犬にとっての中毒性物質を口にしたことによるもの。
中毒物質によっては「痙攣」などの神経症状も
ウイルス性感染症
犬パルボウイルス感染症、犬コロナウイルス性腸炎などの感染症によるもの。
「発熱」や「下痢」を伴うことが多く子犬はとくに要注意!