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ペットの平穏な死を考える

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ペットの平穏な死を考える

『ベッツワンプレス 2012冬号(Vol.33)』 掲載分

ペットの平穏な死を考える
NPO法人 動物愛護社会化推進協会主催 2012年秋の公開シンポジウムより
開催日:2012年10月20日(土)/会場:大阪ペピイ動物看護専門学校>


多数の獣医師、動物看護師の方が参加されました

飼い主として避けることのできない愛犬、愛猫との別れ、そして多くの方が経験するペットロス。飼い主様と愛犬・愛猫の結びつきがより強く、深くなってきた今、動物病院にもこれまで以上の飼い主様への対応が求められています。

今回「ペットの死」をテーマにしたシンポジウムが行われました。その中で、獣医師、動物看護師の立場としての発表がありましたので、その内容をご紹介します。

富永 良子氏

ネオベッツVRセンター 動物看護師長
一般社団法人 日本動物看護職協会理事
富永 良子氏

ペットの平穏な死を考えるにおいて、飼い主さんの気持ちは大きな要因となります。直接、ペットに聞くことができないので「ペットの一生が飼い主さんの満足できるものであったか」ということは大切だと思います。つまり、ペットに対して「飼い主としてできることはやってあげられた」と感じれることは、飼い主さんにとって満足できることのひとつであり、ペットにとっても幸せなことだと思います。そのために、動物病院ができることは、獣医師は病状を十分に説明し、いくつかの選択肢を提示した上で、誠実に最良の動物医療を提供し、チーム動物医療の一翼を担う動物看護師は最良の看護の提供、すなわちペット、飼い主さんと共に闘う気持ち、寄り添う気持ちを持ち、看護にあたることだと思っています。このことが飼い主さんの満足、納得に繋がり、少しでもペットロスを軽減し、飼い主さんとペットと過ごした時間が良い思い出となり、ペットも満足してくれることが私の願いです。

ペットが平穏な死を迎えるにあたり、私が思う飼い主さんの役割は3つあります。まず1つは、信頼できる動物病院を持つことです。信頼して診てもらえる獣医師と親身になって自宅でのケアなどの相談に気軽に乗ってくれる動物看護師に出会うことは、ペットが幸せな一生を送るために必要不可欠だと思います。2つめは、ペットの最期をどのように迎えさせるのか、ご家族の皆さんで十分に話し合い決めていただくことです。自宅で看取るのか、動物病院に任せるのか、状態によっては安楽死等の選択が迫られます。正解がなく、とても難しい選択ではありますが、私は家族の中で1人でも反対している人がいる場合は、さらに十分な話し合いをお勧めしています。そして、3つめは、最期が近づいてきたときに、思い残すことがないように、ペットにとって良いと思うこと、やってあげたいことをできる範囲ですることです。私自身が一緒に生活していた、のび太(ワイヤーフォックステリア・13歳)の最期は、一緒に過ごす時間をもつことを第一に考え、できるだけそうしました。今まで仕事で家をあけることが多かったですが、最期ずっと傍にいられたことで、のび太は眠るように安らかに息を引き取ることができ、私自身も救われた気がしています。

私の考えるペットの平穏な死とは、やはりペットが苦痛なく安やかに最期を迎えることだと思います。飼い主さんが、ペットと一緒に過ごした時間を良い思い出にできるかどうか、動物看護師として最大限努力しなければならない役割だと思っています。

細井戸 大成氏

公益社団法人日本獣医師会
小動物臨床担当職域理事
細井戸 大成氏

獣医師として今までに取り組んできた事と自分が経験した動物達の死や両親の死に際して感じたことを含め、今、自分が考える「ペットの平穏な死」や「自分が死ぬ時」についてお話しします。

私は、山口大学農学部獣医学科を卒業し、藤井寺動物病院にて研修後、1983年6月に大阪市鶴見区で動物病院を開設しました。その後、2005年10月に仲間と共に永年の夢であった動物達に良質な専門診療が提供できる二次診療施設「ネオベッツVRセンター」を東成区に開院しました。それを機に臨床現場からは離れ、動物医療の業界をより健全なものにしていくために、主たる業務を獣医師会や動物病院協会の役員としての役務に大きくシフトしました。また、「獣医師は常に動物にとっての正義の味方である」という信念を忘れず、さまざまなことに取り組んでいこうと考えています。

私は過去に様々な死を経験し、多くを学びました。大学時代、解剖実習目的で殺処分された犬や牛の死からは、「貢献してくれる動物への感謝の気持ち」「死を無駄にしてはいけないこと」を学びました。臨床獣医師としては動物達の死を通じて、「病気予防の知識を広く普及する大切さ」「治療方針・予後・死については家族全員と獣医師とが十分に意思の疎通を図って、決定することの大切さ」「夜間応急対応・専門的な紹介診療等、選択肢を増やすことの大切さ」「安楽死の選択」等、さまざまなことを経験し、教わりました。

また、自分の病気や両親の死を経験し、「自分自身、家族、ペットそれぞれが望む死」について、深く考えさせられました。私は、好きな場所で、自分のことを愛してくれている人に見守られて死にたいと思っています。ペットも同じように感じているのではないでしょうか?ペットの最期に際し、自宅で家族が見送ってあげるのがいいと思います。そして、その最期に感じたことをいつまでも大切にすることが、人と動物の共生社会をより素晴らしいものにしていく上で、とても重要だと思っています。私自身は獣医師会や動物病院協会の役員として、ペットが平穏な死を迎えられるような社会的環境づくりに尽力したいと考えています。

大村 英昭氏

社会学者・大阪大学名誉教授・
相愛大学特別任用教授
大村 英昭氏

最近、私は『平穏死のすすめ』を書かれた石飛幸三医師や、『大往生したければ医療とかかわるな』の中村仁一医師らとともに、特に男たちの“かっこいい死に方”-ということは「生き方」の問題でもありますが-について、何度かシンポジウムを持ったりしながら想いをめぐらしております。ところが、今日のテーマは人間さまではなく、ペットに平穏な死を迎えてもらうにはどうすればいいかということでありましょう。

人間の場合は、「安楽死」というと難しい問題がたくさんありますから、この言い方を避けて「平穏死」とか「自然死」とかいう言い方を選んでおられるわけです。その点、ペットはどうでしょう。むしろ「安楽死」を、もっと積極的にとり入れてよいのではないか、というのが林良博先生をはじめ獣医師方のお考えではないでしょうか。私もその通りだと考えておる者のひとりです。と言いますのが、人間さまの場合に問題になっておりますのは、ご本人の意思とは関わりなしに、むしろ家族の想い(愛情?)の故に本人が望みもしていない延命処置がとられてしまう点なのですが…、この点ペットについては、より一層飼い主の“ひとりよがり”の(愛情?)のせいでペット(ご本人)にとってはかえって迷惑な延命処置が施されてしまうのではないか、ここのところが一層目立つように思います。もちろん、まさかペットちゃんが自ら死を望むということはありますまい。でも、“過保護”の故に、動物本来の気概(?)のようなものを喪失し、自然状態ならそうしたであろう-象や猫はどこかにひそかに消えていったのではありませんか-死の(端正な!!)受容が拒まれているのではないか、という程度のことは考えるべきだと存じます。

日々に食肉になって下さっている動物たちのことも考えあわせて、できる限りの安楽な死を提供することこそ、我々人間の“つとめ”であると私は思います。

「犬の飼い主検定」をご存知ですか?

リーフレットケースもお送りします。
サイズ:高さ15cm×幅10cm×奥行5cm

動物愛護社会化推進協会は、犬の飼い主様やこれから犬を迎える方を対象に、健康管理やしつけ、マナー、犬に関する法律などの適正に犬を飼育する知識の習得を目的に、春と秋の年2回、「犬の飼い主検定」を開催しています。

動物病院様には、一人でも多くの飼い主様が「犬の飼い主検定」にチャレンジできるよう案内リーフレットの配布や院内ポスターの掲示にご協力をお願いします。来院の飼い主様へのクライアント教育のツールとしてもご活用いただけます。

案内リーフレットの配布、院内ポスター掲示にご協力いただける病院様は、下記連絡先へ電話・FAX・E-mailでお知らせください。どうぞよろしくお願いいたします。

特定非営利活動法人 動物愛護社会化推進協会 事務局 www.happ.or.jp
TEL:06-6971-1162(平日10時~17時)/FAX:06-6971-1172
E-mail:info@happ.or.jp