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公的資格化に向けて動き出した“動物看護職”

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公的資格化に向けて動き出した“動物看護職”

『ベッツワンプレス 2012春号(Vol.30)』掲載分

公的資格化に向けて動き出した“動物看護職”

いま求められている「チーム獣医療」。そのキーパーソンが、動物看護師です。

獣医療に本来、求められていることとは?
この問いを頭に思い浮かべてみると、まっ先に出てくるのが「チーム獣医療」なんですね。つまり、獣医師は獣医師として、動物看護師は動物看護師として、それぞれの職域を明確にし、それぞれの業務を責任とプライドを持って行う。これはアメリカやイギリス、ドイツ、フランスといった国では、当たり前のことです。でも日本では、まず職域がはっきりしていないところに問題があります。正確に言うと、業務内容が獣医師に偏りすぎていて、動物看護師は、そのサポートという印象が色濃いわけです。当然サポートもするんですが、本当は、獣医師がかかえている業務をもっと動物看護師にまかせるべき。たとえば採血とか、予防接種とか。もちろん、これは一例です。要するに、おたがいの職域をクールな眼で見直し、確立し、おたがい専門職として認め合いながら仕事をするのが、自然な姿なんです。事実、人間の医療の場合が、そうでしょう。医師と看護師の業務内容が、それこそメスで切ったように明らかに分担されている。これこそが、いまの人間の医療を成り立たせている大きなポイントです。獣医療で、そのようなかたちが成立していないことに危機感を持っているのは、ほかでもなく獣医師自身ではないでしょうか。

動物看護師を専門職として尊重し、そのうえで、みずからがかかえている業務のいくらかを動物看護師に安心して手渡すことができれば、獣医師はより自分の仕事に集中することができ、医療の質が向上するはずです。

「看護師」は知っているけれど、「動物看護師」は聞いたことがない。この状況を、過去の話にします。

日本で動物看護師は、まだひとつの職業として知られていません。人間を診る医療関係者のくちから「動物看護師? そんなのあるの?」というセリフを聞かされたときは、さすがにショックでした(苦笑)。日本動物看護職協会の第一のテーマは、動物看護師の社会的な認知度をアップさせることです。そのために、動物看護師としての職域を確立し、公的資格化を目指したいと考えています。いまの動物看護師の認定は、複数の団体がそれぞれで行っており、それでは基準にバラツキが出ます。そこで、関係団体との協議を重ね、動物医療界全体に通用する統一認定試験を開催することになったのです。これにより基準が統制され、多くの方に認定を受けていただくことで、公的資格として国に認められ、「認定動物看護師」は自動的に公的資格となるというのが私のビジョンです。だからこそ、より多くの方々に認定を受けて欲しいのです。多忙な現職の方々にとっては、学ぶ機会すらままならないかも知れません。

だからこそ、我々は学ぶ場の提供をしたり、誰もが受験しやすい方法を協議したりしています。まだ始まったばかりで、これから動物看護師を取り巻く環境は、さまざまな変化があると予想されます。日本動物看護職協会では、最新の正しい情報を発信しておりますので、HPなどを上手に活用していただき、認定を受けられることをお考え願いたいと思います。

当協会は、動物看護師として現在活躍中の方にも、運営に携わってもらっています。そのひとりからの生の声もご紹介させてください。

飼い主さんと動物たちに、選ばれる動物看護師かどうか。いつも自分に問いただしています。

獣医療の現場にいる私が、これまで感じてきたことのひとつは、動物看護師は獣医師のお手伝い的な役割といった空気が全体に流れていることです。まだまだ専門職として認められていません。たとえば、飼い主さんから「看護師さん」ではなく「おねえさん」と呼ばれたことがあります。これは、まさに獣医師のお手伝い的な仕事というイメージを持たれている象徴的な例ですよね。人間の医療では、あり得ません。私は、人間の医療とおなじように、「看護のプロとしての、看護師」を自分のスタンスにしています。そうすれば、医療の技術や知識をつねに一生懸命、身につけなくてはいけなくなりますから。

また、獣医療の場合、患者さんは飼い主さんではなく、動物。飼い主さんも悩み、心配しています。人間の医療とはその点が違います。そこで、もうひとつのスタンスとして大切なのが、人と動物の架け橋になること。獣医師と動物。獣医師と飼い主さん。飼い主さんと動物。いつもそれぞれの間にいて、双方をケアすることが大事。医療業務に集中しなければならない獣医師に代わって、飼い主さんの気持ちをくみ取って獣医師に届け、獣医師の判断を飼い主さんに伝えます。そして、言葉を話すことのできない動物の心を読み取ることも。そんな日常を続けるなか、飼い主さんから「あなたのような看護師さんなら、この子をあずけても安心」という声をいただくと、いまの職業を選んで本当によかったと実感します。獣医療の現場に多くの「認定動物看護師」が誕生したら、飼い主さんの胸の中をもっと安心感でいっぱいにできると思います。

動物看護師は、とにかくスキルアップを習慣づけないといけない職業です。その技術や知識を「認定動物看護師」の資格が証明してくれるわけですよね。繰り返し言いたいのですが、飼い主さんの不安を大きな安心に変えるために、資格化はとても重要なポイントだと思います。

それから私はつね日頃、こう考えています。飼い主さんは動物看護師の誰もが、なんらかの資格を持っていると信じているから、愛する家族をまかせられるんだ、と。そう仮定することにしています。そう仮定すると、スキルアップのモチベーションが上がります。飼い主さんの気持ちを裏切ることはできない。そんな思いが私自身を刺激し、プロとして成長させてくれます。私とおなじような考えの動物看護師なら、資格化に全員、賛同してくれるはずです。

彼女のコメントにもありましたが、動物看護師の資格認定は、その動物看護師の能力を認め、優秀であることを保証し、飼い主さんの安心度を高めるためのものです。それは、公的資格化への第一歩。そして動物看護師の、社会でのメジャーデビューへの第一歩でもあります。あなたの病院の医療体制にも、かならずいい影響をあたえると考えます。

私たちペピイも、日本動物看護職協会を支援するとともに、飼い主さんと動物たちの幸せのためにがんばっている動物病院と、そこで働く皆様を応援しています。

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動物看護師の資格を認定する、全国統一試験が毎年、実施されます。

動物看護師の資格認定5団体(農林水産省認可 全日本獣医師協同組合、一般社団法人 日本小動物獣医師会、特定非営利活動法人 日本動物衛生看護師協会、日本動物看護学会、公益社団法人 日本動物病院福祉協会)で構成する「動物看護職統一試験協議会」は、このたび平成24年2月19日に動物看護職の統一認定試験として「動物看護職試験」を実施しました。

また、来年の平成25年には、動物看護職の全国統一試験の実施と資格認定を担う機関である「動物看護師統一認定機構」が、統一試験を実施します。いずれの試験も合格者には、「認定動物看護師」の資格認定を行います。病院の医療体制の強化と医療業務の質のさらなる向上、そして、より飼い主さんからの信頼感を高めるために、動物看護師統一試験への受験をご検討ください。

動物看護職統一試験協議会

勉強しなさいと言うかわりに、学びたくなるチャンスを提供します。

日本動物看護職協会では、動物看護師を全面的にサポートする活動を続けています。たとえば現職看護師の生涯教育支援が、そうです。インターネット学習サイトで全国どこでも、24時間いつでも、獣医療や看護についての知識、情報に接しながら効率的に学習でき、さらに講習を受けることもできるe-ラーニングなどのシステムが、高い評価を得ています。また、「栄養指導」や「子犬の生活全般に関わる指導」などをポイントにした認定試験も実施。そのほか動物看護倫理の普及啓発、各種セミナーも行います。ぜひ、ご入会ください。

一般社団法人 日本動物看護職協会
入会に関するお問い合わせは
〒107-0062 東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル西館23階
Tel 03-5775-4023 ?Fax 03-5775-4024
E-mail jvna@jvna.or.jp
日本動物看護職協会

動物看護師の学びが現場で活かされています

看護師たちで手作りした食事管理のプリント。飼い主さんにとても好評です。

大阪府 みのり動物病院
竹本 彩乃 臨床栄養指導 認定動物看護師2級
斉藤 彩加 臨床栄養指導 認定動物看護師2級

竹本?毎月フィラリアのお薬をひとりで買いに来る男の子に「僕の犬のごはんは、これでいいのかなぁ?」と聞かれ答えたあと、その男の子も自分も、もっとおたがいが納得できる説明があったのでは、と感じたんですね。その頃ちょうどこの試験を見つけ、栄養について学ぶいい機会だと思い受験しました。いまではフードの品質表示にも自然と目がいき、また各社のフードの役割にも興味を持つように。これまで飼い主さんから食事のことを聞かれても、その度、獣医師に確認をとっていたのが、自分の言葉で説明できるようになりました。説明できることが増えると、どんどん仕事の自信につながります。飼い主さんとの何気ない会話もできる成長した自分を感じるのも、この認定のおかげかなと思っています。

斉藤?「どんなフードを選べば良いですか?」と飼い主さんから質問されることが多く、少しでも良いアドバイスができるようになればと思い、この試験を受験しました。あと、私自身も犬を飼っていて、愛犬の健康管理に興味があったことも、です。資格認定後、竹本さんとふたりで試験で学んだ知識をベースに、本やフード会社からの資料を参考にして食事管理のプリントを作りました。飼い主さんにプリントをもとに説明していると、「わかりやすいから欲しい」と言われ、動物の健康管理はもちろん、飼い主さんとのコミュニケーションの意味でもたいへん役立っています。この認定試験で得た、知識や技術に満足することなく、つぎは1級にも挑戦しようと思っています。

業務内容やデータの採り方、新しい薬の情報など、調べたい項目がすぐに見つかるよう、インデックスをつけた必須ノート。学生時代のノートや教科書もときどき見直します。

みのり動物病院
吉村 範夫院長 吉村 佳美院長
看護師 竹本 彩乃さん(右)
看護師 斉藤 彩加さん(左)

院長先生から
たとえば5年前と比べても飼い主さんの意識やニーズは、大きく変化しています。動物の病気もどんどん変わっています。多様化する獣医療を支えてくれるのは、ほかでもなく動物看護師たちです。さらに能力を発揮し、目標とやりがいを持つ意味でも、動物看護師の公的資格化は必要だと思います。

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認定試験を通して最新の情報や学ぶ機会を得たことが仕事に活かされています

大阪府 上田獣医科病院
中村 昌子 臨床栄養指導 認定動物看護師1級
添田 奈穗 臨床栄養指導 認定動物看護師1級

中村?身につけた知識をもっと深く理解したいと思い、1級を受験しました。栄養学は独学では範囲が広すぎて、どこから手をつけたらいいのかわからなかったのですが、こういう試験があることで、栄養学の道筋が私の中で生まれ、新たな知識を増やすことができました。病気で来院する子だけでなく、たとえば健診で来た子にも「ごはんのことでわからないことがあったら聞いてくださいね」と、自分のくちから言えるようになったのがうれしい。知識に裏づけがあるので、飼い主さんの疑問にすぐに返答でき、その場で不安を解消できることも喜ばれています。私は病院で“パピークラス”を開催しています。しつけと栄養、ふたつの面から飼い主さん、動物たちをサポートできることに大きなやりがいを感じています。

添田?試験対策のセミナーでしか得られない最新の資料や情報に魅力を感じたのが、受験のきっかけです。塩分比較など、普段このようなデータにふれる機会がなかなかないですからね。認定で得た知識と技術は、「食べているから問題ない」という飼い主さんや、フード選びやダイエット対策など独自の解釈を持つ飼い主さんに、栄養面から具体的にアドバイスできるというかたちで活かされました。飼い主さんに納得していただける回数が増えることで、信頼関係がより増したと思います。私たち動物看護師はつねにスキルアップしないといけない存在ですが、専門職として社会的にもっと認められる体制ができれば、と思います。それは動物看護師を、これからもずっと続けていきたい仕事だと思うからです。

処方食などテーマごとにまとめた看護師による手作りプリント。飼い主さんにケアの目的やポイントを理解いただくよう、お渡ししています。

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上田獣医科病院
上田 達院長 獣医師 井上 ひとみさん
看護師 添田 奈穗さん(右)
看護師 中村 昌子さん(左)

院長先生から
動物看護師の公的資格化は、時代の流れですし、これからの看護師たちの活躍に大いに期待しています。獣医師、動物看護師それぞれが、それぞれの職域と分野で活躍できると、僕たち獣医師の負担も軽くなり、本来の仕事がより深まりますから。獣医療の底上げになるいい動きだと思います。

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