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動物病院の業務改善に向かう「院内コミュニケーションアップスキル教室」(1)

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動物病院の業務改善に向かう「院内コミュニケーションアップスキル教室」(1)

第1回「指示の受け方のコツ」(全10回)

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第1回「指示の受け方のコツ」

 効果的な返事
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▲ 指示のポイントの一部を「復唱」「発声」することで、聞き違いを防ぐ事ができます。

 例えば「Aさんに伝えてください」と出された指示には、「はい」「了解しました」等と応えるのが一般的です。これを「Aさんですね。はい。」に変えてみてください。院内で起こっている伝達忘れやミスが激減します。
指示のポイントの一部を「復唱しながら」受けると、聞き違いや、勘違い、更には「忘れてしまう」ということを概ね防げるからです。「受付に持って行ってください」には「受付ですね。はい。」「今日中にお願いします」には「今日中ですね。はい。」です。ポイントを発声することで、自分の声でもう一度聞きますから、脳により刻まれるのです。
更に「はい」の「い」の発声の口元が笑顔になるため、前向きな表情で指示を受けた感じが伝わる効果もあります。このような習慣ができると、「Aをお願いします。」という指示には「Aですね。はい。今日中でよろしいですか?」等と指示者の意図を正確に仰ぐ質問もできるようになります。

 最小限のメモ

 動物病院では「『はい』と返事したのに指示を忘れてしまうのです。」というお悩みを聞くことが少なくありません。デスクワークではなく、皆が立ちまわりながらの業務なので、コミュニケーションの多くは口頭で交わされるだけで、メモが残らないというのが原因の一つでしょう。スタッフはその時にいちいちメモを取っている暇がないのが現状ですが、少なくともすぐに着手できない指示は、各自で所持しているメモにキーワードだけでも残すようにしましょう。

 飼い主様応対スキルへの効果

 このような習慣がつくと、飼い主様との応対でも印象が変わります。「予約をお願いします。」に対しては「はい。いつがよろしいですか。」より、「診察のご予約ですね。はい。いつがよろしいでしょうか。」の方が、前向きで、仕事ができそうな人な感じが伝わります。わざわざ訓練をしなくても、このようにちょっとしたコツを実践すると短期間で「スタッフのプレゼンテーション力」が向上します。プレゼンと言えば、学会でスライドを使ってする発表、講演などを連想される方が多いようですが、スタッフの在り方、印象はその病院のプレゼン力の現れなのです。獣医師、看護師、トリマー、受付他、それぞれの職域で「ポイントを繰り返して応答」ができるスタッフが揃っているだけで飼い主様の安心度は高まります。

 実践方法
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▲ 目に入りやすい場所にメモを貼り、皆で意識付けしましょう。

 この記事を「スタッフ全員分印刷」して一人ずつに配布しましょう。どこかに掲示して、あるいはスタッフルームに置いて、みんなで見るという方法より10倍以上、早く、伝わります。 更に「〇〇ですね。はい(^-^)」と書いたA6サイズのメモを、それをバックヤード、例えばスタッフルームの壁、スタッフ用のトイレのドアや洗面所、ロッカー、入院室のケージの前、受付カウンターの裏、調剤する前の壁など、頻繁に目に入るところに貼りましょう。1週間程度、こうしておくことでスタッフ全員、均等に意識付けができます。

 成果が出たスタッフには、院長、マネジメント側の方が評価をお願いします。 ポストイットにその人の名前を書いてその紙に貼り付けていくとよいでしょう。院長や看護師長等、役職でポストイット色を決めておくと誰が評価したかわかります。スタッフにもポストイットを持たせて、お互いに貼るのも楽しいでしょう。1週間と期限を決めて、ポストイットに名前を書かれた方の枚数を発表してください。これは、「掲示」でもよいでしょう。 その紙を作成し、貼ったり、1週間後にポストイットを取りまとめたりする業務改善推進担当者を決め、その人に任せてすぐに始めましょう。私のご提案は、基本的に時間もコストもほとんどかかりません。日常の診療業務に負担をかけず、こういう簡単なルールの下に一連の流れを作れば、全員で情報を共有し、その進捗を管理するという組織で働く力を育てることになるのです。

講師の紹介
坂上先生

 動物病院接遇コンサルタント 坂上緑

 大阪ペピイ動物看護専門学校講師。 飼い主様対応スキルアップ研修 動物病院の人材開発、業務改善コンサルティング、動物病院の現場状況に合わせた実技セミナーを全国で展開中。


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