いずれも小さなパーツですが、そこには「猫らしさ」を象徴する大切な機能が…。
お手入れ方法も含めてご紹介!
つねに新品! 猫の爪
狩りのための
大切な武器
猫の指は前足に5本、後ろ足に4本あり、それぞれの爪は出し入れが自由自在。狩りのときに足音を消したり、摩耗を防ぐため、ふだんは指の中に収められていますが、いざ必要な場面になると、筋肉を収縮させて爪を出します。これは、走るスピードを優先して爪を出しっぱなしのチーターを除くすべての猫科に共通の特徴です。また、筋肉が未発達な子猫や、筋肉が衰えた高齢猫でも、爪が出たままのことがあります。
爪とぎはマーキングの役割も
爪は何層にもなっていて、内部に新しい爪が作られます。猫が自分で爪とぎをしたり、歯でかじったりすることで、古くなった爪が鞘状に脱落して、内側から鋭い新しい爪が現れます。
爪の新陳代謝と同時に、爪とぎにはマーキングとしての役割も。猫の肉球には皮脂腺があり、ここから出るフェロモンをつけることで、自分の存在を他の猫に知らせたり、生活環境を自分のにおいで満たして、気持ちを落ち着かせたりする意味合いもあるようです。
室内飼育なら爪切りの習慣を
本来、猫にとっては大切な鋭い爪。しかし、室内で人と一緒に暮らすうえでは、様々な不都合も出てきます。爪とぎ器だけでなく、家具や柱で爪とぎをして傷だらけにしたり、家族をひっかいて、猫ひっかき病やパスツレラ症などの感染症の原因になることも。また猫自身も、伸びすぎた爪が巻き爪になったり、カーペットなどに引っかかって爪がとれてしまうこともあるので、外に出ない猫なら、定期的な爪切りの習慣をつけておいた方が安心かもしれません。
猫の爪は細く、丸くカーブしているので、形に合った猫専用の爪切りを使うと簡単。人間用の爪切りを使う場合は、人と同じように上下に挟んで切ると、爪が欠けたりつぶれたりするので、横から挟むようにして切ります。
猫が嫌がって暴れる場合は、かかりつけの動物病院に相談してみましょう。無理をして失敗すると、次から爪切りをさせてくれなくなったり、飼い主さんとの信頼関係を損なう原因にもなりかねません。
高感度レーダー!
猫のひげ
周りの情報をキャッチ
猫のひげは、口の左右だけでなく、あごの下、頬、目の上などにもある太くて硬い毛です。「触毛」と呼ばれ、体毛とは違って、根本に神経や血液が通った敏感な感覚器官です。
ひげは、近くの物体のかすかな動きや、温度、湿度、風向きなどを察知し、敵や獲物の存在をキャッチするのです。また、暗闇での障害物の把握や、通り抜けに必要な幅のチェックにも活躍します。
感情も表現
ひげの動きで感情もわかります。
猫のひげを切るのはNG!
ひげは猫にとって非常に大切なものなので、不用意に切ってはいけません。ひげを切ることで、感覚機能が鈍り、物にぶつかったり、ジャンプに失敗したりするようになることも。もし、ひげが折れたり、ストーブなどで焦がして縮れてしまったときは、抜いてしまえば、また新しいひげが生えてきます。
スカンクだけではない!?
猫にもある肛門のう
お尻から出るくさ~い分泌物
猫の肛門の左右斜め下あたりに、肛門のうと呼ばれる袋が一対あります。この中には、独特の強いにおいのする分泌物がたまっていますが、これは、スカンクが敵を撃退するときに臭いにおいを発するのと同様のもの。
猫が怖がったり興奮したときなどに、この分泌物が排出されることがあります。もともと“自分のにおい”として個体識別の役割を担っており、猫同士がお互いのお尻を嗅ぎ合うのも、このにおいを嗅いでいるといわれています。
肛門のう絞りとは
分泌物は、通常は排便時などに少しずつ排出されますが、肛門のうの導管や開口部が詰まると、たまりすぎて炎症を起こしたり、破裂することもあります。分泌物がたまりやすい猫は、定期的に絞り出す必要があります。しきりにお尻を舐めたり、肛門のうの位置を触ってみて、ふくらみを感じるようならそのサインです。
肛門のうのある場所は、肛門を挟んで左右の位置。ぷくっとふくれているところに親指と人差し指をあて、奥から手前に引き上げるイメージで下から上に押し出します。分泌物は非常に臭く、付着するとにおいが落ちにくいので、ティッシュやガーゼをあてて行うことをおすすめします。肛門のうが硬くなっていたりしてうまくいかない場合は、無理せず動物病院にお願いしましょう。